力強く微妙なバランスに重力から解放され赤と黒の楕円形は天井から吊るされ
空気の流れで自由に動く彫刻、デュシャンはモービルと命名
ペンシルヴァニアに生まれ父は彫刻家、母は画家
第一次大戦のパリは得意の一筆書きを生かし針金彫刻をつくり
素材の針金を用いた動く斬新なサーカスはジャンコクトを熱狂させ
パリのカフェは多くの前衛芸術家たちと知り合い小さな蕾は夢に向かって熱く膨らんでいった
アメリカのコネチカットに戻り広葉樹林は豊かにしげり白い教会、大きな川はゆったりと流れ
秋の光を浴びた麦畑は金色に輝き18世紀の農家でカルダーは豊かな創造力で制作に没頭する
客船HFアレクサンダー号ボイラ室の中は重油の匂いとエンジン音は規則正しく響き若いころ
機関士で働くカルダー
ある朝早くガアテマラ沖の静寂な海、巻いたロープの束は心地よい寝台
見渡すかぎり水平線に燃えるような赤い太陽もう一方は月は銀のコインのように沈みカルダーは
霊感を受け天体の運行の不思議に心うたれる
有機的な表現と変化する緊張感にたもたれ調和と均整は詩に舞い
カルダーの色彩はモンドリアンの影響をうけてシンプルに人類初の動くモービルは
世界の眼を楽しませた偉大な彫刻家カルダー